今年の夏は暑すぎた / Estate caldissima
2023年9月8日金曜日の午後17時、北イタリアのチェゼーナのわたしのお家でこれを書き始めた。
このブログは一応日記で、1週間後から新しい仕事が始まるので、その記録というか備忘録になる予定。
9月16日土曜日のお昼の13時の便でわたしはアムステルダムに行くはずで、そこから3ヶ月間アムステルダムの隣のハーレムという街の近くに住んで舞台の公演に出演する。珍しく俳優の仕事をする。実は俳優の仕事を20代からやっているけれど、出演して来たほとんどの作品は自分のグループFAIFAIでの作品か自分の作品にしか出演してこなかった、誰か他の人が演出する作品に俳優として出演したりしたことが実はほとんどない、ほとんどないのに41歳になった今年の秋は初めてオランダで、初めて会う演出家や俳優やスタッフたちと、基本言語は英語の現場で仕事する。なんかクラクラするくらい初めてのことだらけなので、いつもの自分を使った社会実験に参加してるみたいな気持ちになってきて、そしたらこういう状況に置かれると人間どうなるか、ということを記録としてつけてみたくなった。
8年前にイタリアに来た時からこの社会実験は始まっており、この社会実験はいろんな部門に分かれているのだけど、言語という部門では、30歳すぎて言語能力ゼロでその国にやってきた人間が果たしてその国の言葉をなんとか身につけられるのか?という実験をしていて、8年経った今の所の結果は、なんとか習得できる。という結論になった。だけど全く違う文化や言語の中で、小さな街で、家族も友達もほとんどいなくて、という状況で人間がどうなるかというと、それはそれは精神的に結構辛い。ということもわかり、自分は好奇心だけでここに来てしまったけど、つまりは自分の好奇心に殺されるタイプの人間(世界一高い所で自撮りしようとして落ちて死ぬ人みたいな)だったかと理解したのだった。
オランダでの仕事をブリュッセルに住む演出家で俳優であるみずきさんが紹介してくれようとした時、わたしはいつものようにチェゼーナのうちの近所のラーメン屋であるYume ramenのホールで働いていた。今話せますか?と聞いてくれるみずきさんに、ごめんなさい今ラーメン屋さんの仕事中で、、明日の午前中なら話せます!とか答えて、そんなに急いでどうしたんだろう?まさか仕事の依頼?いやそんなわけはないか、、とか思っていたら本当にそうだったからびっくりした。日本人の俳優をもう1人探していて、誰がいるかなと考えていて、、でもどうしてすぐりのさんを思いつかなかったんだろう!と言われて、そりゃ思いつかないよね、とわたしも思った、わたしは俳優の仕事をしてなさすぎだし、作品を作る!と言って日記映画とか作ってばかりなのだから。演出家とも話して今までの出演作品の映像を送ったりして本当に出演できることとなり、しばらくした時に制作のJessieからCVを送ってほしいと言われた、つまり履歴書のこと、そんなものも用意したことがないくらい、本当に他人の作品に出たことが無い。急いでみずきさんのCVを真似させてもらって作り始めたら、こんなにたくさん作品を作って来たんだとびっくりしてこれは書かなくていっか、タイトルも意味不明だし、、というものはちょっと端折った。給料はキャリアの長さによって決まる、あなたのキャリアは何年になる?と聞かれて、正直産後とコロナの間はほとんど俳優の仕事はできていないから、わたしのキャリアから5年引いてもらって構わない、と伝えた。
2017年の2月、妊娠7ヶ月の時には、大きいお腹で日本に帰ってFAIFAIの舞台に出演した。リハーサルの時は毎日爆笑しすぎて生まれちゃったらどうしようと思って、妊婦 爆笑で検索したら爆笑は何も問題ない、胎児にも良いこと、と書いてあってホッとした。だけど赤ちゃんが生まれてからは2年間本当に何もできなかった。それは子供が生まれたばかりで当然とも言えるかもしれないけど、その期間はそれが本当に辛くて、しかも夫のエウジーはちょうどその頃から舞台のテクニカルディレクターの仕事が忙しくなり、1人で赤ちゃんと家で待つことが増えた。何もできない日々は運良く2年で終わったけれども、仕事に関しては彼を羨む日々が続いた。はっきり声に出して、あなたが羨ましくてしょうがないと言って泣いたことも何度かあった、恥ずかしいくらい何度も羨ましいと言ったと思う。本当に羨ましかったから。全く家庭的な性格でないわたしが家で小さな子供と夫の帰りを待っていて、イタリアの社会の中でやることなすこと自信がなく、しかもこんなに頑張っても誰にも褒められなくて、ヨーロッパの大きな街の大きな劇場で、拍手を浴びてる彼が羨ましかった。羨ましい、対等になりたい、わたしも同じくらい家を空けて仕事して、同じくらい稼ぎたいと言うと、対等に拘りすぎだと言われて、ああ、優位な立場の奴がよく言う台詞だわな、クソがよ、と心に鬼が住んだみたいになっていた。
みずきさんからラーメン屋の仕事中に連絡をもらうまでは、本当にもう日本に帰ろうかと思っていた、そうじゃないとこのままでは夫婦の仲も壊れてしまうかもしれないと思ったし、わたしがここで辛いまま過ごすのは娘にも良くないと思った。みずきさんから連絡をもらえて本当にこの仕事ができるらしいとわかって、もう少しヨーロッパにいてみようと思った。9月から12月まで約3か月オランダにいなくちゃいけない、と言われて、思わずカレンダーでエウジーがこの1年間でツアーの仕事で家を空けた日数を数えて比べてみたら、ほぼ同じ日数だった、つまりわたしはとりあえず数字の上では彼と対等になった、くだらないかも知れないけどそれが本当に嬉しかった。
エウジーが羨ましくて羨ましくてしょうがなかったのはちょうど2021年頃のことでコロナもあって日本にも全く帰れなかった時のこと、2022年になってようやく3年ぶりに日本に4ヶ月も帰って自分の舞台の仕事をしたりできるようになってずいぶんわたしの気持ちも落ち着いた、落ち着いたし、最終的にわたしは星占いを見始めた。わたしは双子座、彼は蟹座、娘は牡牛座。簡単に言うと彼と娘は家にいたい、わたしにとってはずっと家にいることは拷問。と良くわかった。(つまり8年間ちょっとした拷問だった)外国人同士だから分かり合えないと思うことはそんなにないのだが、星が違うからいろいろしょうがない、と思えるようになった。一応彼の名誉のために書くが、エウジーは家事育児は完璧にこなし、母性に溢れ、常に20分前行動な勤勉なイタリア人男性である。(乗りたい電車の到着時間ギリギリに着いて目の前でドアが閉まってもドアを叩けばええやろと思ってるわたしとは大違い)しかしそんな性質なので仕事である舞台のテクニカルディレクターとして優秀すぎていつもbusyなのである。娘のあさ氏は本当はわたしと同じ双子座になるはずだった、だけど彼女の意思で20日早く生まれてきた。だからきっと何か意味がある、と思う。
初回だからいっかと思って長く書きすぎた(いつも文章を長く書きすぎる)
これが書き終わる今はもう9月15日になっていて(夫は仕事で3週間ギリシャにいてしばらくワンオペだったからちょこちょこ書いてました)わたしは明日には出発。娘は今日イタリアの小学校に入学した。長かったイタリアの夏がやっと終わって、明日にはオランダの秋の中に放り込まれる。
オランダに着いた後もちょこちょこ日記を(できるだけさらっと)書いていこうかなと思う。もし良かったらまた読んでみてください。
ではまた!
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